アトピー性皮膚炎【かじもと皮膚科医院】 大阪市住吉区あびこ駅3分

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アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹を主体とした症状を繰り返す皮膚の慢性の病気です。
患者さんの多くは、皮膚が乾燥して皮膚の防御機能(バリア機能)が低下しやすい、アレルギーを起こしやすい、といった体質(アトピー素因)をもっています。 皮膚の炎症が続くと、かゆくてかきむしり、かき破ると炎症が悪化し、さらにかゆくなってしまうという悪循環を引き起こします。
また、炎症を繰り返すことにより、様々な皮膚感染症(とびひ、みずいぼ、ヘルペスなど)や、白内障・網膜剥離などの眼科的疾患、食物アレルギー・喘息・アレルギー性鼻炎・結膜炎などのアレルギー疾患を合併しやすくなることもあります。

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療は、
① 薬物療法
② スキンケア
③ 悪化因子の除去

の3本柱が基本となります。
この中でも特に重要なのが①薬物療法です。

薬物療法

① 薬物療法

土踏まずや足の縁などに小さな水ぶくれが多発するタイプです。高温多湿な夏季に悪化しがちで、一般的には強い痒みを伴います。水ぶくれが破れると、皮がむけてきます。

外用療法

皮膚の炎症をコントロールする薬物療法の中心はステロイド外用薬です。それに加え、タクロリムス軟膏、JAK阻害剤軟膏、PDE4阻害剤軟膏などを組み合わせたり、保湿外用剤で皮膚の状態を保つなどの治療を行います。
皮膚の炎症をコントロールするステロイド外用剤を正しく使用できていないためにかゆみなどのつらい症状が長く続くことはとても残念なことです。
アトピー性皮膚炎で悩むことのない日々を送ることができるように、正しく外用剤を使っていくことが大切だと考えられます。

*ステロイド外用剤
ステロイド外用剤は、その強さに応じて1(弱 weak)~2(最強 strongest)の5段階の種類があり、部位や症状によって使い分けます。

リアクティブ療法とプロアクティブ療法

アトピー性皮膚炎の外用療法には、症状が出たときに外用する『リアクティブ療法』と、症状が引いてもしばらく概要を続ける『プロアクティブ療法』の2種類があります。

●リアクティブ療法
症状が出たときにステロイド外用剤などを使用し、改善後保湿剤のみを使用する方法です。通常よく行われている塗り方で、時々湿疹が出る程度の継承の方にはこの方法が適しています。

●プロアクティブ療法
症状が出てきたときにステロイド外用剤などで湿疹をひかせます。改善後もともと湿疹のあった部位にステロイド外用剤を塗り続け、少しずつ減らしていく方法です。何度も繰り返して湿疹が出る方にはこの方法が有効的です。

【なぜプロアクティブ療法が必要なのか?】
強い炎症、長く続く炎症では治療により見た目の症状がなくなっても皮膚の中ではまだ炎症が残っており、この段階で治療を中止するとすぐ元に戻ってしまいます。皮膚の中に残る炎症をしっかり治療し、抑え込むことが大切です。

そのためには…

  • はじめに一気に直す…
    最初は1日2回で。
  • もう少しそのまま…
    よくなってきても2週間以上を目安に毎日続ける。1日2回から1回ぐらいにはできるかもしれません。
  • 少しずつ減らす…
    2週間ごとぐらいで、きれいなまま、1日おき、週2回、と減らしていく。ぶり返したら1つ戻る。塗らない日は保湿などで維持していく。
ぬる量、ぬり方、範囲

軟膏やクリームは、大人の人差し指の先から第一関節までの長さ、ローションは1円硬貨ぐらいの大きさで、大人の手のひら2枚分の面積相当です(1FTU)。
だいたいテカテカしてティッシュが張り付くぐらいの量が目安です。
すりこまず、やさしくぬります。
目立っている湿疹のところだけでなく、ざらざらしてかゆいところまで広めにぬることも大切です。

  • 家族に水虫の人がいるときは、スリッパ、足ふきマットなどを別にしましょう
  • 足を清潔にしましょう
  • 家の床や畳を掃除することも大切です。
  • 公共の場で裸足になったときは、早めに足を洗いましょう
  • 普段から足を乾燥させておきましょう
  • 通気性の高い靴や靴下を選ぶことも効果があります

など

ステロイド外用剤による副作用

適正に使用すれば全身的な副作用はありませんが、ぬったところには長く続けると以下のような副作用がみられることがあります。

  • 毛が濃くなる
  • ぬったところにニキビができやすくなる。
  • 長期に使用すると皮膚が薄くなることがある。
  • 長期に使用すると血管が目立つことがある。

など

しかし、副作用は使用回数が減るほど少なくなり、ほとんどの副作用は中止後に回復しますので適切に使用することが大切です。

全身療法(内服・注射)

かゆみを抑える目的で抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を補助的に使うことがあります また、症状に応じて漢方薬などを処方することがあります。
重症のアトピー性皮膚炎で、ステロイド外用剤等でうまくコントロールできない場合、 治療のために免疫抑制剤の内服薬を処方することもあります。
最近ではアトピー性皮膚炎の原因にかかわる分子をターゲットにした生物学的製剤の注射薬や、JAK阻害剤の内服薬も出てきています。既存の外用療法でコントロールが難しいアトピー性皮膚炎の方などには治療法の幅が広がってきています。
その他、過剰な免疫反応を抑えることを目的としたナローバンドUVBなどの紫外線療法が用いられることもあります。

② スキンケア

アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能(防御機能)が低下した状態であり、さまざまな刺激による炎症やかゆみが生じやすくなっています。
そのため、皮膚を守ってあげるための保湿剤の使用、入浴による清潔状態の維持(こすりすぎは×)なども重要です。

③ 悪化因子の除去

アトピー性皮膚炎の症状が悪化する原因は1つではなく、様々なことが組み合わさって起こることがほとんどです。できる限り気を付けましょう。

  • 乾燥(季節など)
  • ダニやほこり、花粉などのアレルゲン
  • 接触刺激(服や髪の毛など)
  • 精神的ストレス など

☆アトピー性皮膚炎診療ガイドラインで示されている治療の目標は、『症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、それを維持すること』です。患者さん一人一人の症状に応じてきっちりと治療を行い、この状態を目指していきましょう。