いぼ
いぼとは
皮膚の表面に発生する丸い角質の突起物をいわゆる「いぼ」といいます。
ウイルスに感染したウイルス性疣贅(尋常性疣贅や伝染性軟属腫)、脂漏性角化症、軟性線維種などがあります。
但し、一般の方がいぼだと思っていても、実はいぼではなく、その他の皮膚腫瘍だったということもあります。自己判断せず、必ず皮膚科専門医の診断を受けるようにしてください。
尋常性疣贅(ウイルス性いぼ)
直径数mm~1㎝ぐらいまでのかたいできもので、手足を中心に単発あるいは多発します。人から人への直接的感染のほか、銭湯・温泉施設・プール・ジムなど公共施設での間接的感染もあります。鮮魚や精肉の処理などに従事する人で手がふやけているといぼウイルスが手につきやすかったりということもあります。
いぼの原因になるヒトパピローマウイルス(HPV)は健常な皮膚には感染しにくいですが、ケガなどの小さい傷から容易に侵入し、入り込んで感染します。
ウイルスの粒子は皮膚の上の方にたくさんあり、またほかの傷から入って増えていきます。
尋常性疣贅(ウイルス性いぼ)の治療
ヒトパピローマウイルスに効く抗ウイルス薬は現在のところ存在しません。
まずは保険適用のある、液体窒素による凍結療法(綿棒、スプレー)による治療を行います。
1回の治療で完治することは難しく、2~3週間に1回、根気よく気長に、繰り返し治療を行うことが大切です。
凍結療法では以下のようなことが起こりえますがご了承ください。
- 治療時の痛み…1~2日続くことがあります。
- 水ぶくれや血まめ…治療後、水ぶくれや血まめになり、破けると汁が出たり血が出たりしますが、その場合は不潔にならないようにして、ガーゼを当てるなどして対応してください。ひどい場合は受診してください。
- 色素脱失、色素沈着、瘢痕、爪の変形…まれに起こすことがあります。
- 水ぶくれや血まめになっても、約2週間程度で皮が貼り、治る見込みです。
- 尋常性疣贅はなかなか取れず、治癒までに長い期間かかることがありますが、放置すると移って増えていきますので、2~3週間に1度、完全になくなるまで気長に治療しましょう。
水いぼ(伝染性軟属腫)
伝染性軟属腫ウイルスによる感染症で、幼小児によく見られます。
つるつるで光沢のある1~5mmぐらいの全身どこにでもできます。
やぶれると白いジュクジュクの塊が出てきて、搔き破るとこれがつぎつぎと移る原因になります。
体、四肢に多く、ひざやひじなどこすれるところは多発することもあります。
アトピー性皮膚炎があるとひどくなりやすいです。アトピー性皮膚炎のお子さんは皮膚のバリア機能が低下しており、細かい傷からウイルスが入り込みやすかったり、かゆみのためにひっかいて広がったりするからではないかと考えられています。
水いぼの治療
専用のピンセットで一つずつ摘まみ取り、内容物を除去する方法が一般的です。数が多いときは痛みを軽くするため麻酔のテープ(ペンレステープ)を用いることもあります。
脂漏性角化症、軟性線維種
いわゆる老人性のいぼといわれるもので、加齢とともに増える良性腫瘍です。
顔やくび、体、四肢などどこにでもできます。
正常の皮膚色~茶色、黒など色は様々で、大きさも数mm~2、3cmと様々です。
加齢や紫外線、こすれなどによって起こりやすくなるともいわれています。
脂漏性角化症、軟性線維種の治療
必要に応じ、凍結療法を行います。大きい場合などは取れにくいこともあり、回数を必要とします。
凍結療法のほかに、切除や、炭酸ガスレーザー(自費治療)による治療を行うこともあります。
まれに、脂漏性角化症と似ているもので、皮膚がんが疑われるものがあり、この場合には皮膚生検を行い病理検査での鑑別診断が必要になります。